日米開戦

メルマガ)宮崎正弘の国際ニュースより~

一読すれば、いま行われている「歴史戦」への取り組み方が鳥瞰的に把握できる
ぜひ周囲に伝えなければ・・という思いも沸々と湧いてくる。

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宮崎正弘vs高山正之『日本に外交はなかった』・(自由社
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                      評 浜田実

本著の内容は<日本人の常識>にしなければならない。健全日本人にはさらなるインパクトを、フラフラ日本人?には新鮮なインパクトを与えてくれる。子供たちにも伝えなければ・・・。

 気付きの一例を挙げます。
■10章. 日米開戦
・日米開戦の原因は日本人が非白人だったことに尽きる。ほぼ確立された白人支配体
制を破る危険な国柄として、いずれは(日本は)潰される存在だった。
ウッドロー・ウィルソン国際連盟で日本を孤立させ、次のハーディングのとき、
日英同盟を解消させて白人クラブから完全に(日本を)追い出した。
・日本が満州に活路を見出そうとすれば非難する。日本を経済封鎖する。日本を病原
菌よばわりして隔離宣言まで出す。日本人はそれに耐え続けた。基本的に日本人は
劣った有色人種だから、戦争になってもいつでも勝てると思っていた。・・その流れ
のなかで日本はもがいていた。
ルーズベルトは、結局、戦争でしか(大不況による)景気は浮揚しないと思い始め
た。・・対日開戦準備の執念深さは、有色先住民を皆殺しにしていたキリスト教的な
「明白な使命」(マニフェスト・デスティニー)に通じるものがあると思う。・・・
三百年かけてインディアンを殺し尽した執念で日本を滅ぼそうとした。・・その執念
は日本の宰相が誰であっても変わらなかった。つまり(戦争を)回避できる戦いでは
なかったと思う。(高山氏)

ここに、戦争というものの「宿命」を感じぜざるを得ない。戦争を回避しようとしても、それに抗する強い暗黙の力が働いたとき戦争は現実化する。
右脳民族日本人の欠点は戦争を回顧するとき、ただ戦争のお涙頂戴的な「悲惨」のみを論う。そこには戦争へと駆り立てる悪魔の如き「他者」が不在である(数日前、テレ朝が、ある戦死者の孫が、祖父の残した手紙を読んで、罪なき多くの人たちの死を悼み、戦争を憎む(「他者」不在、原因訴求無)声が紹介されていた。他者不在の、お涙頂戴の典型報
道)(浜田)。

■13章. アメリカのエージェントとなった外務省
・占領解除前後に、駐独大使館や中米大使館にいたキャリア組はみんな出世する。日米開戦時の真珠湾攻撃の際、最後通告を時間どおりに手交できなかったことの責任者井口貞夫は昭和26(1951)年の講話条約締結の際の事務次官。タイプを打たないで遊びに行った奥村勝蔵は占領解除後に外務次官になる。駐独大使館にいた外交官で責任を取って自ら身を引いたのは大島浩だけ。もっとも大島は根っからの外務省キャリア組ではなく、陸軍出身でした
・今の日本外交がなっていないのは、外務省の官僚的な体質の弊害があります。お役所仕事、縄張り意識と、省内だけの政治を見て出世だけはしようというおこがましい限りの処世術が目立つ(宮崎氏)。

これはほんの一部の引用だが、随所に、目にウロコの(マスゴミ、偏向教科書が意図的に隠す事実)情報が満載で、つい飲食を忘れるほどの面白さである。今までの歴史認識がガラリと変わる痛快さでもある。

全体は19の章立で構成されており、其の他、上06とんでもない朝鮮通信使、08キリスト教排除、10幕末に見る日本人の気概外交、下02朝鮮半島問題で引きづり込まれた日清戦争、08対華二十一か条要求、09日米対立、17慰安婦問題で朝日新聞と共犯になった外務省、18南京事件世界遺産になった・・・等々、我々が無視できない歴史問題のポイントを余すところなく、これでもか、これでもかと指摘されている。
これらを一読すれば、いま行われている「歴史戦」への取り組み方が鳥瞰的に把握できると思う。
ぜひ周囲に伝えなければ・・という思いも沸々と湧いてくる。

(日米開戦の関連本:『開戦以降の日本外交の研究』(杉原誠四郎著/1997/亜紀書房